Vol.4 *snowpeak 長妻さん
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こんにちは! 情熱ある若者大陸へようこそ!下田村の雄大な自然に囲まれたアウトドアの聖地、スノーピーク様にやってきました!
今回の若者は株式会社スノーピークの長妻正人さん。千葉県柏市出身の長妻さん。あの山井社長からも厚い信頼を得るプロダクトデザイナーです。数々のヒット商品を手掛ける長妻さんの燕三条への想いと、アクティブすぎるプライベートにも迫りました。
高橋:こんにちは。本日は宜しくお願い致します。
長妻:こちらこそ宜しくお願い致します。
高橋:早速ですが、まずはこの地域に来た経緯から教えていただけますか。
長妻:会社に入ったのは趣味がアウトドアだったことが一番ですね。その中で、学校の授業でも燕三条地域が洋食器や金物で有名だということ聞いていましたし、金属加工にも凄く興味があったのでそういうことを学べるところに期待をしていました。また、現代の職人さんというものが実際どういうものなのか見てみたいなという気持ちがありました。まあ、でもスノーピークがここにあったからというのが正直なところですね。
高橋:働きたい会社がこの地域にあったということですね。大学では金属加工を学んでいたのですか。
長妻:大学ではデザインを学んでいたんですが、僕がデザインしたいものが硬いものだったので、金属加工は切っても切り離せないものなんです。ですので、製造過程やどんな方が作っているんだろうと。大学でも職人さんって見たことなくて、熱い鉄を叩いている鍛冶職人のようなものをイメージしていたんです。
高橋:なるほど。実際来てみてどうでしたか?
長妻:まちがゆれているのに驚きましたね。地震かと思いました(笑)。
高橋:ゆれるまち・・・むしろ私も経験したことないんですが(笑)。どの辺ですか?
長妻:三条のゴミ処理場の近辺ですかね。鍛造の大きなプレスの器械があってそれでゆれるんです。実家が住宅街で工場とかが近くになかったので、プレスでゆれるまちにはカルチャーショックを受けました。
高橋:それは中々経験できないですよね(笑)。ではこの地域にきて夢がかなった瞬間はどんな時でしたか。やっぱり自分の開発商品が発売されたときとか?
長妻:夢というと少し違うんですが、この会社に入って設計のノウハウとかはあまり教えてもらえてなくて、どちらかというと地場の職人さんに図面の引き方とか一から教わったんです。
高橋:えっ?そうなんですか。それ記事にして社内的に大丈夫ですか・・・?
長妻:いや、教えてもらえなかったというのは無しで。(笑)ただ、本当にいろんな職人さんが教えてくれました。
高橋:職人というと教わるんじゃなくて、見て覚えろ的なイメージが強いんですが。
長妻:いや、一度お世話になると、「教えてやるから来い」みたいな感じですごくかわいがってくれるというか。
高橋:あー、一度懐に入るとそうなんですね。
長妻:なので、入ったばかりの頃は教わるばかりで申し訳ないなと思っていたり、ちょっと自分のプライドも揺らいでたんですけど、最近になってやっと対等に話せるようになって来て。これやったらいいじゃんみたいな雰囲気になって。これまで教わってきたことが身になったんだなと感じられたことが、一つ夢がかなったことですね。
高橋:自分の成長を実感できたときということですね。因みに、長妻さんが最初に作られた商品は何ですか。
長妻:最初に認められたのは、「シェルフコンテナ」ですね。ちょっとしたギミックがあって。結構苦労したんですよ。
※長妻さんの初代作品「シェルフコンテナ」
高橋:そうやって認められるようになるまでに、どのようなことで苦労されましたか。
長妻:まあ、理想が高くて、現実にやろうとすると難しいことが多くて、先輩に無理だと言われて、でもどうしてもやりたくて。で、結局先輩の方が正しかったり(笑)。今でもそういう試行錯誤の繰り返しなんですけどね。
高橋:それだからこそいいものになるんですよね、きっと。お仕事以外でこの地域で不便に思っていることはありますか。
長妻:家に帰る間に店がないところですね。ちょっと遅くなると帰りに買い物ができないですもん。まあ、この地域というよりはこの会社と家の間の話ですけど(笑)。
高橋:確かに。コンビニくらいですもんね。お休みの日はどうされてるんですか
長妻:趣味が登山なので、そういう意味ではここは凄くいいですね。福島の方や北アルプスの方にも行けますし、もちろん新潟にもいい山がいっぱいあって。いろんな山にアクセスしやすい地域なので遊びに関しては文句ないですね。最近は山登りというよりは崖を登ってますけど。
高橋:崖?クライミングとかですか。
長妻:そうですね。夏は沢を登ったりします。
高橋:沢?
長妻:山から流れる川というか、一般的に思われる川ではなくて、崖から流れてくる滝というか(笑)
高橋:滝登りですか??見た目よりだいぶアクティブなんですね(笑)危ない目にあったことはないんですか。
長妻:それはしょっちゅうですね(笑)。谷川岳の一ノ倉沢などはクライミングの全国的なメッカなんです。でも実は世界で一番事故が多くてギネス認定までされてるんですよ。大きな慰霊碑もあります。
長妻さんより頂いた写真・・・絶句です(汗)
高橋:危険すぎますね・・・(汗)どうか気を付けてくださいね。でも、仕事と趣味と実益を兼ねていていいですね。そもそも千葉や東京のような都会住んでいて、どういうきっかけでアウトドアに興味を持たれたんですか。
長妻:本格的にやり出したのは大学時代なんですけど、父がキャンプ雑誌を購読していて。庭にばっかりいる父だったんですけど。カレー作ったり(笑)。
高橋:日常でアウトドアしていたお父様の影響なんですね(笑)。
長妻:そうですね。本当に面白いなと思い始めたのは大学の時に自転車の旅をしてからですね。
高橋:へぇ。どこからどこまで旅されたんですか。
長妻:2回行ったんですが、1回目は八王子から沖縄ですね。
高橋:お、沖縄?
長妻:はい。沖縄に行って、自転車で帰ってきました。
高橋:しかも往復ですか(笑)。
長妻:はい。2回目は日本縦断です。北海道の宗谷岬から九州の志布志まで。その時には新潟も通りましたよ。
高橋:テントや寝袋を持って行かれるんですか。
長妻:はい。テントと寝袋で全部野宿です。
高橋:天気が荒れているときもありますよね。
長妻:そういう時はバス停ですね。田舎のバス停ってちょっとした小屋みたいになっるじゃないですか。そこで。
高橋:ああ、想像つきます。何日くらいで行くんですか。
長妻:両方37、8日くらいでしたね。1日約100キロ走るので。夏休みを使って行ったんですけど、後期の始めに間に合いませんでした(笑)。
高橋:やっぱりその辺の経験は商品づくりに活かされているんですか。
長妻:まあ、ちょっとは活かされてますね。ただ、その時はスノーピークでやってるような贅沢なキャンプはあまりやったことがなくて、たまにキャンプ場で楽しそうにやっているのを見ながら、内心「チッ」と思ってました。
高橋:レジャーキャンプなんてぬるいなみたいな?
長妻:そうですね。テーブルなんて使いやがってみたいな。まあ、今はそれを作る側なんですけどね(笑)
高橋:楽しいキャンプには欠かせませんよね(笑)。
長妻さんのがデザインしたテーブル!
高橋:では、今このまちでやりたいことや夢などありますか
長妻:やりたいことというか、このまちでしかできないことは結構発見しているんです。加工のレベルが高いところは当然尊敬しているんですけど、それ以前に、「気持ち」ですね。出来なさそうなことをやってくれる。プライドというか、「できないでしょ」という言い方をすると、「いや、できる!」みたいに返してくる。
高橋:他の地域はそういう感じではないと。
長妻:まあ、あまり他の地域にお願いすることはないんですが、できないことは「実績がないからできない」ときっぱり言われてしまいますね。ただこの地域にはそういったことはないです。
高橋:まずは話を聞いてくれると
長妻:門前払いはないですね。聞いてくれて、そこでお互い意見しながら落としどころというか、新しい解決策がみつけられる。
高橋:それがこの地域にしかないってことですね。難しいものでも何とかしようとする。作れないものはないんだという。
長妻:そうですね。特に我々のような設計関係者の中では、この地域の金属加工の技術が高いことは全国的に知られています。でも、そういう気持ちの部分というのはきっと知られていないと思うんですよね。その部分を知ってもらいたいですね!
高橋:そういう気持ちの部分って大事ですよね。目に見えないですし、接してみないとわからないですもんね。でもみんなに知られたら、競合が増えちゃいますね。
長妻:そうですね。うちの商品をやってもらえなくなるかも(笑)。厳しいですからね、うちの品質基準も。ただ逆に、やっぱり金額の面なども考えながらやるので、ある部分は妥協しないとダメな場合もあるんですけど、認めてくれなかったりしますよ。つい先日も、先に高い材料で見積もってもらっていて、ちょっと想定より出そうだったので安い方の材料でお願いしたら、見積りを下げるから高い方でやってくれと。こっちの材料じゃないといいものにならないと言われて。
高橋:先方からですか?それは凄いですね。
長妻:ものづくりに対するプライドなんでしょうね。実際に少し下げていただいて高い方の材料で進められました。
高橋:安かろう悪かろうをやってくれないんですね。
長妻:そうですね。しかも不良も隠さないですぐに報告してくれます。ちょっと見てくれと呼ばれて、確認したら「これくらいはいいのに・・・」と思うこともあります。海外だったらすぐ隠そうとするのに(笑)
高橋:本当に職人なんでしょうね。気に入らない仕事は許せないという。
長妻:そうですね。そんな燕三条の職人さん支えられて今の僕たちがいるんです。
高橋:素晴らしいですね。それでは最後の質問です。長妻さんが考える未来を切り開く力とはなんですか。
長妻:難しい質問ですが、「発信力」ですかね。価値はあるだけじゃダメなんですよね。僕らの仕事もですけど、やっぱりいいものがあってもそれを知ってもらわないと価値がでませんから。こんなに素晴らしいところがあるのにもったいないですよね。
高橋:奇遇ですね!私たちも、このまちにいる情熱のある若者達を「発信」しているんですよ!こんなに素晴らしい若い人たちがたくさんいるまちなんだ!って皆さんに知ってもらいたいと思ってやっています! 長妻さん本日は本当にありがとうございました!
長妻:ありがとうございました。
長妻さんがデザインした 一品です。
大自然のなかで、大好きなアウトドアの品物をデザインする・・・良いですね!
オフショット。こんなふうに動画とりますって説明しています。おかげでステキな動画が撮れました!