VOL17 戸隠神社 渡邉さん
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こんにちは!
情熱ある若者大陸へようこそ!冬の寒さと春の陽気が相まった不思議な季節感を感じる今日この頃。ラスト一個前となるvol17では、旦那様と奥様の2人の取材を致しました。燕市にあります。戸隠神社の禰宜さんの渡邉さんと琴奏者の奥様に取材を行ってきました!
旦那様はなんとアメリカ国籍をもつ面白い経歴の持ち主です。また奥様はご出身がお茶の産地「静岡県」からアメリカ→燕市と移住されております。今回も情熱いっぱい。笑いいっぱい。地域の魅力いっぱいの情熱ある若者大陸!どうぞご堪能ください!
【今回の記事は 2016年11月末に取材を行ったものです】
※旧年度のスローガン「未来を切り拓く力」が映像や文言に掲載されておりますが、2016年に取材を行ったものですのでご理解を賜りたくお願い致します。
三上: それでは本日は宜しくお願い致します。
渡邉: こちらこそ宜しくお願い致します。
三上: まずは渡邉さんがこちらに戻ってきたきっかけを教えてくださいますか。
渡邉: はい。私は、もともと生まれが燕市なんですが、どうしても習いたい先生がいまして、私自身が神社に縁があるわけではないのですが皇學館大学にて学ばせて頂きました。そして卒業間際にこの戸隠神社の宮司さんが皇學館大学のOBでして、卒業したらどうするのかと問われ、私は新潟経営大学にも習いたい先生が居ましたのでそちらで学びたいと言いましたら「君はもともと神社の出ではない。大学に学んでいる間だけでも私の神社で学んだらどうだ」と申されましてこちらに勤めました。そして、大学での学業が終わる頃、ハワイ島のヒロ大神宮の宮司さんが高齢になられ後継者を探しておられるとの事で、応募したら見事に選ばれてしまいまして、せっかくなのでハワイで永住しようと思い国籍も変えてお勤めさせて頂きました。
三上: 国籍まで変えたのですね。
渡邉: そうですね。少し話は飛びますがその後、戸隠神社の宮司より区切りがついたらこっちに戻ってこないかと言われ、ハワイでの勤めも区切りが付きそうだと思ったのでこちらに戻ってきました。
三上: ちなみにハワイのヒロ大神宮を見つけたきっかけはどのようなものだったんですか。
渡邉: 神社新報という業界紙に後任神職募集という記事があって、私のような継ぐべき神社のない人間がいくべきではないかと思い立ちました。また、ヒロ大神宮は海外では一番古い神社なんです。この神社を潰してはいけない。誰かが跡を継がねばならないと感じました。
三上: 奥様とは現地でお会いになったんですね
渡邉: そうですね(笑
三上: 燕市に戻るっていったとき、奥様は反対とかはなかったんですか。
奥様: 私はとりあえず田舎が大好きなんです。
渡邉: 笑
奥様: 初めて燕市に着た時、田んぼ風景をみてこんなに遠くまでみえる土地があるんだと思いました。ハワイ島の景色も燕の景色も似てるね。となって・・・それなら良いなと思いました。
三上: 奥様はご出身は静岡県との事でしたが、静岡県とはまた違ったものなのでしょうか。
奥様: 私が住んでいた所は静岡市だったので結構街中だったんですよね。ビルもたくさんあってなおかつ山もあったので「空」が狭い感じでした。景色を遠くまで見れなかったんです。
渡邉: そして食べものが美味しいという所もあったので。(笑)
奥様: そうですね。
渡邉: 静岡のほうではお正月くらいしか蟹を食べないらしいのです(笑)
奥様: こんなに安い蟹があるのにびっくりしました。あと甘海老?のおっきいヤツあるじゃないですか。あれがまた美味しくて美味しくて・・・
三上: 南蛮えびですかね。
渡邉: 結構新潟にカルチャーショックがあるみたいで、春に新潟にきたときに田起しが始まるじゃないですか。トラクターが道路を走るじゃないですか。泥が残りますよね。それをみて「なんで道路に馬糞が落ちているんだ」って不思議がってました。
奥様: 道路に土があること自体見たことがなかったので(笑)
渡邉: そういう意味では私も静岡にいったときの事ですが、なんでこんなに狭い土地で「茶畑」があるんだ!と思うくらいの土地に茶畑があったんですよ。
奥様: 静岡県民は、隙あれば茶畑を作るんですよね。
三上: 隙あれば茶畑・・・
佐藤: (カメラマン爆笑)すみませんツボりました・・・
三上: すみません(笑)話を戻しましてこちらに帰ってくるときになにか期待していることとかありましたか。
奥様: 琴を弾く人が少ない。あまり聞いたことがないと聞いていたので、私、中学校とかに琴部みたいなのがあったらその指導者に憧れていて。だいたい琴は先生がもう決まっていて中々入る隙がないんです。琴を弾く人が居ないのであれば、ちいさい頃から合奏に親しめる環境があれば良いなと。そして、お宮に琴が弾ける人がいるよって少しでも宣伝になればなと思って居ます。
渡邉: 神社というものはそもそも地域の伝統や道徳の基盤でもあると私は思っています。
ご家庭で出来なくなったようなイベント、例えばお花見や節分。お月見など年中行事の中に琴の音を聞いてもらいたいですね。
三上: 確かに新潟では琴を弾く文化が無い。とくに弦楽器の文化があまりないですよね。関東近辺にはそういった文化はあるのでこちらでもその文化を少しでも広めていきたいという事ですね。
奥様: そうですね。
三上: ケンオードットコムさんにも取り上げられたことがありますが反響はいかがでしたか。
奥様: 年配の方からはお声をかけてくださる人もおられましたよ。
三上: 実は私も琴は弾けます
奥様: え?
三上: 私神楽をやっておりまして、和琴、筝琴と両方なんですが「浦安の舞」の時に13本の琴を弾くんです。でも音程を合せて歌に合せて弾くくらいなので・・・
奥様: 三上さんはなんでもできるんですね。
三上: 生き残る為の手段です(笑)それでは質問に戻りますね。こちらに戻ってきて辛かった事などはありませんでしたか。
渡邉: そうですね。辛いことは無かったです。もし辛かったとしたらもっと僕は痩せているはずですよ!(笑)
三上: オチをつけなくても大丈夫です(笑)
渡邉: オチをつけないと落ち着かないもので(笑)
一同: (爆笑)
奥様: 子供に関していえば小学校以後は日本で教育を受けさせたいと思っていましたね。向こうは自由すぎますしドラックも多いですから。
三上: そうなんですね。
奥様: でも、日本にきて一番ショックだったのは病院関係ですね。例えば一歳や二歳の健康診断を集まってやるじゃないですか。そして裸になって待つんですよ。それが本当に嫌で。
渡邉: 向こうではホームドクターが健診の日を決めてくれてそれぞれでやってるんですね。子供が集まると必ず病気をもらってくるんですよ。
奥様: それが許せないんですよね。こないだもその健診の際に目の前で嘔吐したお子様が居られたのですが、案の定ノロウィルスをもらっちゃって、結果家族総出でノロになってしまったんです。もう絶対に嫌ですね。
三上: 確かに日本の医療システムは少し変わっているのかもしれませんね。
渡邉: 向こうでは必ずホームドクターが家庭を管理してくれるんですよね。ケガしたり骨を折ったらホームドクターが紹介状を書いて整形外科にいきます。そして処方された薬などの情報はホームドクターへ情報集約されるというシステムなんです。日本の医療に比べるとお金は高いですけどね。
三上: 理事長(2016年度相場理事長)も高校卒業してからアメリカに留学してて、確かに医者の薬しか飲んだことがないって言ってましたね。
渡邉: あと風邪を引くじゃないですか。電話をすると色々聞かれるんですよ。その時点で実は診断が終わっていて、何度まで熱が上がったらこちらに来なさいみたいな。
三上: 電話で診断されるんですね。
渡邉: 〇〇っていう薬を購入して飲みなさい!とかって事もありましたね。
三上: 電話で指示されることもあるんですね(笑)ありがとうございます。では静岡とこちらでのギャップみたいなのはありますか。
奥様: やっぱり気候ですね「雪」ですね。だから車だけにはお金をかけさせてほしいと言いましたね。あと、車の屋根の雪を落とさずに走っていたらドサーと目の前に落ちて来て真っ白になってパニックになった事がありましたね。
渡邉: 車の上の雪まで落とさなきゃならないという事をそこで学んだようです(笑)
奥様: 雪がふると早起きしますよね。だから雪国の人は我慢強いというか偉いと思います。
渡邉: ましてはハワイではあるいみダラーとした生活をしていたわけですからね。
奥様: 静岡では小学校では10度以下にならないとストーブが点けられないんですよね。10度以下が寒いっていってたんです。ホントごめんなさいですよね。こっちはもっと寒いのに(笑)
三上: 確かにこっちでは水も凍りますからね。
奥様: あと、雪国ではブレーキ踏むなっていわれませんでした?私意味が分からなくて。
三上: スピードを出すなってことですね(笑)
奥様: あと地吹雪は、死の予感がしますよね(笑)
渡邉: アメリカと違うのはやっぱり治安が違いますよね。この地域は一声かければ防犯になりますよね(笑)家に鍵をかけなくてもお出かけできますもんね。
奥様: おばあちゃんの家とかは鍵かけてないですよね(汗)
三上: それだけ家に「もの」が無いのかもしれませんね。貴重品などを置かない風習があるのかもしれませんね。(笑)
渡邉: チャイムを鳴らして出て行くともう家の中に入っているっていうシーンありますよね(笑)
三上: そういえば今日は「市日」ですけど、何か感じるものってありますか。
奥様: そうですよね。わくわくしますよね。見たことのないような「木」が売られてたりとか。
三上: 見たことのないような木ですか(笑)
奥様: そうです(笑)あと、びっくりしたのは菊の花を食べるという文化ですよね。後は山菜が充実していますよね。コシアブラやタラの芽など宝のやまですよね。
渡邉: これが噂の「コシアブラ」か!って感動していました(笑)図鑑でしか見た事がないって!
奥様: 新潟県は海も山も美味しいモノが本当にたくさんありますよ(笑)
三上: やっぱりお米とかも違うもんですか。
奥様: もう全然違います!うちの実家は毎年楽しみにしていますね(笑)
三上: だいぶ話が盛り上がってきたところでそろそろ本題に戻したいと思います。ではこの地域でやりたいこととかってございますか。奥様だったら「琴」だったり、渡邉さんだったら「私塾」だったり、帰ってきてこのまちに必要なことって何か思うところはありますか。
渡邉: このまちに必要なことですか・・・そうですね。先ほどの食べものの話ではないですけど、名産の売り込み方があまり上手くないって思いますね。燕や三条は金物や金属加工のまちで有名で、どこに行っても言われると思うんですよ。なぜかというとそれは小学校の教科書に新潟県の燕三条地域は金物金属加工のまちだって出てるんですよね。他の地域ならお金をかけてPRしているのに、それをしなくても日本中の人が知っているというベースがあるのにもかかわらず、何処に行けば手に入るか、ここが有名だとかがわからない気がするんです。
三上: なるほど。
渡邉: それは、外に出たことによって改めて理解しましたね。以前学生のころ鍋セットを持っていったんです。それが実は素晴らしく良いモノで、ある日寮の先生が「良い鍋をもっているな~」って言われて・・・
奥様: もらった茶托が銅製品のすばらしく良いものだったり。
渡邉: それ「玉川堂」さんのものだったんですよね(笑)
三上: それは立派すぎますね(笑)
渡邉: 私たちには普通でもヨソの方からみたら普通じゃないものがたくさんあると思うんです。今はなんかそれがラーメンばっかりになっている気がするんですよね。
奥様: 私もそう思います(笑)
三上: ありがとうございます。あと、例えば神社でやってるなかで地域でこれをやりたいとかってありますか。
渡邉: はい。そうですね。私がやっている私塾をなんでやるかというと神社というのは地域社会の道徳を守る基盤であると思っています。そして世界に通用する日本人を作ろうという目的でやっています。「心棒」が入っている日本人が必要だと思っています。国際的に通用する日本人というとすぐ語学からという流れになっていますがそうではなくて、私は今もアメリカ国籍ですが、アメリカ人に独立記念日は1776年で7月4日って事は知っているんですよ。しかし日本人に建国記念日はなぜ2月11日ですかって聞かれてもきっと答えられないんです。また、外に向かって自国の悪口をいう人もいるわけじゃないですか。そういう人を見た時に、おそらく自分の親と祖国の悪口を言う人は世界中では尊敬されないと私は思っています。ですのでここで「心棒」が入った日本人が今後必要だと思ったことが私塾を開いた目的です。
三上: 日本のことを話せる。知っている。好きであるという部分ですね。
渡邉: 今の学校教育の中であまり教えられていない部分で世界に通用する日本人が今後必要になってくると思います。
三上: 日本の学校は日本のことをちゃんと勉強しない所があるのでそういった部分をしっかり理解した人間が必要だと
渡邉: そうですね。
三上: ありがとうございます。奥様は「琴」の他になにかありますか。
奥様: そうですね。やりたいこととは少し違うんですが、ハワイで琴を弾いていたときに、色々なひとたちが興味をもって琴を聞いてくれてたんです。日本に帰ってきたときに弾いてくださいって頼まれたとき、現代曲をやってくれって言われて、ちょっと違うなぁって思っていたんです。でも最近、たまたま古曲を弾いた時に、聞いてた人が「いい曲ですね」って言われて、私自身なにか固定観念をもっていたんだなぁって気づかされた1面がありました。
三上: 私が知っている琴の団体も現代曲やっていましたね。
奥様: そうでしたか。でも一人でやることにはやっぱり限界があるので合奏をやりたいという想いはあります。
三上: 色々な人とコラボレーションしたら面白いのかもしれませんね。私もやっておけば良かったですね(笑)
奥様: まだ大丈夫ですよ(笑)
三上: ありがとうございました。ではいよいよ最後にこの地域に必要だと考える「未来を切り拓く力」は何だと思いますか。
渡邉: オチは必要ありませんよね。
三上: ええ。オチはいりませんね(笑)本日はありがとうございました。