生え際の攻防
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生え際の攻防
まるで毛根が露わになったような田んぼの切り株。秋の荒野然とした風景を見る度、私は強い焦燥感を覚えるようになりました。
「残された時間は少ない」
それは自身の体に起こっている微細な変化。髪をかき上げ、鏡に映る自分。疑念はやがて確信へと変わります。
「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」
ニーチェは既に喝破していました。深淵、すなわち「生え際」というアビス。マリアナのそれより深く刻まれつつあるM字の怪物が鏡越しに私を睥睨してきます。
奇しくも「このハゲェ」が巷を席巻した2017年。起床後、朝の枕元を見ると、なんということでしょう、兵どもが夢の跡ではないですか。就寝前と起床後の劇的ビフォーアフター。寝ている間に匠が一仕事終えているのです。
実は昔から額は広い方だという自覚がありました。だから、
「そう、自分はただ…
全文を読む…|曽我農園